年末だから忙しいのか、それとも横着のしわ寄せなのか。毎日々々「えーっと、今日中にしなくちゃいけないことは……」と頭の中でつぶやいているような気がします。家の壁にポストイットを貼り、買い忘れているもの、し忘れていること、期限のある約束事等を気付いたときに書きこんでいったらなんだか恐ろしいことになってしまい、狭い部屋をうろうろしながら「えーっと、どれからやったらいいのかなー」と現実逃避をはじめる始末。いつだってエンジンをかけるまでが長いのです。「やるのはアンタしかいないんだよっ。分かってんのっ」と自分で自分のお尻を叩いている師走の日々です。
そんなわけで、今年はどんな一年だっただろう、としみじみ振り返ることもせず、目先のことばかりに追われているのですが、このコラムを読み返してみると、それなりに充実した年だったんだなと思えてきます。一人旅をし、妹と旅をし、友人と旅をした。そして、とりあえず元気で年の瀬を迎えている。もうこれだけで上出来の一年だったと言って間違いはないでしょう。そう考えると、今まで上出来でない年はほとんどなかったのじゃないか、そんな風にも思います。
心残りなのは、もっともっと横浜で遊べばよかった、ということ。なんだか、住んでいる年月が長くなれば長くなるほど横浜に疎くなっていくような気がするのです。バーに行くとか、ジャズを聴くとか、大道芸を見るとか、いろんな遊び方ができるのが横浜のいいところ。来年は積極的に地元で余暇を過ごそう、好きな風景をたくさん見つけよう、と今から思っています。
好きな風景といえば、この、日本大通りの秋の銀杏並木!どうしてと言われても上手く説明できませんが、毎年秋になるとどんなに忙しくても足を運ぶほど大好きです。葉が色づいて、落ちるという「サイクルの終わり」の風景なのに、眺めているとなぜか元気が出るのです。
そんな、紅葉が演出する終わりの風景を、今年はひとつ見つけました。紅い葉を壁に這わせている、中区北仲通にある帝蚕倉庫です。
この地区は再開発が計画されています。高層ビル、マンションなど6棟が建つ予定になっており、来年から工事が始まります。エリア内にある帝蚕倉庫は、大正時代に建てられた、いわば歴史的建築物なのですが、事業主は「保存は課題」として「活用」を検討しているものの、そのまま残されるかどうかはまだ、分かっていません。
写真の左上に、うっすらと「帝蚕倉庫」と青い字で書かれているのが見えるでしょうか。この倉庫の壁を這うつる性の植物は、毎年春にはくっきりとした緑の葉を付けていました。旺盛に茎を伸ばす姿は、遠くから見ると白いキャンバスに描かれた鮮やかな絵のようでした。しかもその絵は植物の成長によって日々、変化する絵。なかなか見られるものではありません。地味だけれど、横浜という港町の歴史を感じさせてくれる小さな名所だったと思います。
建物が姿を消せば、建物を彩っている植物も姿を消してしまうでしょう。2006年最後のメルマガ、ちょっと寂しそうな写真で締めくくることになってしまいましたが、来年はまた元気な話題をお届けしたいと思います。良いお年を。